石油需給
昨今の石油価格の上昇は様々な要因が複合的に作用することによって引き起こされています。
その中でも最も大きな要因として挙げられるのが、世界の石油需給の逼迫です。
とりわけ、石油需要増大のけん引役とも言えるのが中国と米国です。1991年から2000年までの主要国(G.7.・BRICs国)における世界の需要の増加分は(1,691万バレル/日)。同期間における中国と米国の増加分(880万バレル/日)は、これのほぼ半分に相当するのです。このような需要の増大が続く一方で、供給面では、石油の余剰生産能力は長期的に縮小傾向にあります。OPECが保有する余剰生産能力は1980年代から1990年代にかけて大きく縮小し、2000年代に入っても300~400万バレル/日程度の水準で推移し続けています。
増大する世界の石油需要に見合った供給を確保するためには、現在生産を行っている油田の生産減退分も補った上での増加を進めていく必要があります。その為には、新規の生産能力増強自体は、これからの需要増加分以上の水準を達成していかなければなりません。また、近年大規模油田の発見がなされていないため、今後の生産能力の増強は、現在生産を行っている油田よりも小規模の油田を数多く開発していかなければならず、より多額の投資が求められます。
今後、低コストで生産できる油田開発が可能な投資が行われる必要があります。低コストで生産できる油田地域は、サウジアラビアやイラン、イラクといったOPEC産油国に集中していますが、例えば、イラクやイランなどにおいてはそれぞれ国内政情や国際政治面での緊張の高まりから投資が進められていないのが現状です。
■原油価格
原油価格の代表的な指標にはこの「WTI」、欧州産の「北海ブレント」、中東産の「ドバイ」があり、これらが世界の3大原油指標と言われています。その中でも、「WTI」原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっています。
■世界の石油消費と埋蔵量
世界の確認石油埋蔵量は、2007年末時点で中東が7553億バレルで最多。次いで、欧州/ユーラシアの1437億バレル、アフリカの1175億バレル、中東米1112億バレル、北米693億バレル、アジア太平洋408億バレルと続きます。
国際エネルギー機関(IEA)によると、石油需要は2007年以降、年率1.0%で増え続けており、そのうち中国やインドにおける石油需要は大幅に増加するとされています。2007年から2030年の世界需要は1.2倍増と見られていますが、中国とインドの2ヶ国では約2.3倍の増加が予測されています。